世界初の「特許NFT」プラットフォーム
資産のデジタル化で特許のポテンシャルを引き出す
「デジタル時代の知財経営戦略 (日経サイエンス編集部)」にIPweが紹介されていますので、ぜひご覧ください https://www.nikkei-science.com/sci_book/bessatu/b257.html
AIとブロックチェーン技術を活用した世界初の無形資産管理プラットフォームを運営する 米国企業のIPwe(アイピーウィー)。知財のデジタルトランスフォーメーション(DX)により、 資産のポテンシャルをフルに活用するために必要な唯一のプラットフォームを実現している。
効率的な資産評価と運用のため のプラットフォーム
日本においても「コーポレートガバナ ンス・コード」が改訂され、知財を含め た企業の無形資産の活用に関する重 要性が認知され始めている。そんな中、 IPweは、世界最大の知財データベース を有するクラリベイト社と提携し、企業 が保有する特許を評価し、経営者がど の知的財産を活用すべきかをデータに 基づいて理解し、特許の売却やライセ ンスなどに関する推奨を容易にする「ス マート・インタンジブル・アセット・マ ネジメント(SIAM)プラットフォーム」を 提供している。 IPwe社長のリアン・ピント氏は、
「IPweのSIAMの最大の特長は、AIや ブロックチェーンなどの最新技術を活 用し、特許の競争優位性をつくるとこ ろにある」と説明する。SIAMでは、特許の出願・取得件数だけではなく、特許資産の価値や収益可能性まで可視化している。IPweは約25カ国に1000社以上の顧客を抱えており、SIAMプラットフォームで使用されているAIは、15年以上前に誕生してからこれまでに5億ドル以上の特許取引と20億ドル以上の資金調達を実現している。
また、マネージング・ディレクター・ ジャパンの渡邉聡氏は、日本企業が 特に海外で抱えている課題として「特 許の収益化」があると話す。 「日本企業は技術開発力に優れ、世 界的にも資産価値が高い特許を有して います。しかし、これまではその活用 方法があまり議論されてきませんでした。 SIAMを使うことで、自社が保有する特 許の価値を可視化し、海外企業への売 却を含め、特許の最適な使い道を探る ことができます。また、SIAMの特許評 価は、企業が注力すべき資産を明確に し、特許管理を簡素化することができ ます」(渡邉氏) SIAMプラットフォームの分析は、創 業者であるエリック・スパンゲンバーク 氏が15年以上にわたって継続的に開発 してきたAIに支えられている。このAIは 世界最大かつ最も完全で洗練されたクラリベイトのデータベースに支えられており、企業は客観的な特許の格付けや 評価を知ることができる。
ブロックチェーンを活 用した世 界 初 の 特 許 マ ー ケ ット プ レ イ ス
ピント氏が「IPweは、知財のデジタ ルトランスフォーメーションにより、従 来の知財市場を拡大することに焦点を 当てたテクノロジー・カンパニーだ」と 表現するように、同社はさらに、ブロッ クチェーン上に構築され、特許NFTを 搭載した世界初のグローバル特許市場
「スマート・トランザクション・マーケッ トプレイス」を立ち上げた。
このマーケットプレイス上では、企業 は「IPweデジタル資産」と呼ばれるNFT に変換された特許を販売やライセンス 供与によって効率的に商業化すること ができる。NFTといえば、これまではデ ジタルアートが主な取引対象だったが、IPweはほとんどの企業にとって最大の 無形資産である特許をターゲットに、企 業向けの真のブロックチェーン・ユース ケースを開発している。NFTにトークン 化することで、IPweは知的資産を流動 的な金融資産に変え、取引できるよう にすることをめざしている。特許の新し い活用方法を促進することで、より公 平性に富んだ取引を実現し、市場を活 性化しようとしているのだ。
特許をブロックチェーン上で取引する メリットとしては、取引効率・透明性の 向上やコスト削減が挙げられる。ブロッ クチェーンはデータ記録の改ざんが実 際上不可能であり、また、同マーケット プレイスでは「スマート・コントラクト」と呼 ば れるシステムが、特 許の取引プロセスを自動的に管理している。そして、取引が完了した時点でIPweデジタル資産に即座に検証・反映される。そのため、特許の売買や権利者情報などの重要な情報を透明 性高くやりとり し 、 より 効 率 的 な運用とコスト削減が可能となる。
ピント氏はIBMで特許のライセンシ ングに関する責任者を務めた経験から、「特許の売却などには多くの人的コス トがかかり、機会損失につながってい る」と分析。IPweは、現実世界では煩雑でコストがかかるプロセスをブロック チェーンに置き換えることで、取引の活 性化をねらっている。
NFTへの特許デジタルトランス フォーメーションの 強 み
IPweは、SIAMプラットフォームで特 許をIPweデジタル資産というNFTにデ ジタル変換した後、AIを使って、その 価値を計算できるようにしている。このトークンにはクラリベイトのデータベー スから公開された知財データが格納されており、IPweのプラットフォームは顧客が価値ある資産を特定し、SIAM上 でその資産を売却あるいはライセンス供与したほうがよいのかを推奨する支援をしている。
SIAMとIPweデジタル資産は、特許の売却・ライセンス供与といった基本的な取引に加え、商業化のための他の選 択肢や、営業秘密やノウハウなど特許以外の知的財産の特定、追跡、開発を効率的に行う方法を企業に提供する。
2023年に日本市場に本格参入へ SIAMやIPweデジタル資産などを通
じ て 特 許 活 用 の デ ジ タ ル 化 を 進 め る IPwe。ピント氏は「特許を含めた無形 資産は大きな収益化のポテンシャルを 有し、通常、上場企業のバランスシー トの85%以上を占めています。知識集 約型社会において、IPweは、顧客の 特許の意味と価値を株主に届ける重 要な役割を担っていきます」と市場へ の期待感を語る。
同社は2023年1月に日本支社を開設 し、日本企業へのアプローチを本格化 する。渡邉氏は「日本企業にとって『無 形資産の活用』は経営成績を左右する 重要なファクターになるでしょう。SIAM やIPweデジタル資産は、これまで日本 になかったもの。IPweが、日本企業に とって必要不可欠な存在になりたい」と 意気込んだ。